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初めて触れた山本武の肌はその人柄のように温かいかと思えばそんなこともなくて、温かくはあるけれどそれは芯からそうというわけではなく、根っこの本元のところは冷たく凍えているそうな、そんな変わった印象を与えた。それよりも、私を抱く時の泣きそうな辛い顔。その顔を見続けいたら現実に引き戻されそうで、私はそっと目を閉じて、全てを身に任せた。
雲雀恭弥が私を一瞥して、そう吐いた。私はその言葉でそういえば昨日彼からの電話がきていたなと今更ながら思い出す。電話の着信には気付いて出ようとしたが、私の上に覆い被さっていた山本がそれを拒んだ。携帯へと伸ばした私の手すら山本は掴み、逃さないと強い瞳で私を見つめたのだ。特にそこまで電話に出る気もなかった私はされるがままにされ、結果雲雀さんから電話が来たのだと気付いたのは意識を取り戻した今朝のことで、どうせ急用ならまた電話が来るだろうと適当にあしらっていた。雲雀さんは私の考えなどお見通しとでも言いたそうに「まあ特に用事があったわけじゃないけどね」と呟く。それなら電話をしなければいいのに。 「情事の最中に電話に出ろとは言わないよ」 す、とシャツの間を指差され私は羞恥に顔を赤くする。雲雀さんは満足そうに私の反応を眺めると、「別に隠すほどのことでもないだろう」と少し軽蔑の混じった言い方で私を責めた。確かに、私の周りで彼との関係を知らない人などいるだろうか。この人は私が彼の部屋に連れ込まれているところを見たし、獄寺隼人など、一度私と彼の情事中に部屋に入ってきたことがある。私と山本の裸を見た時の獄寺の顔は、軽蔑よりも驚きよりも戸惑いが何より大きかったようで、「…悪ぃ」と何に対してかは分からない謝罪の言葉を呟いて部屋を出ていった。自分のしていることの重大さは知っていたはずなのに何故か獄寺が去っていった方をずっと見続けていた私に、山本は無理矢理唇を重ねた。自分達のやっていることは正しいのだと、それを主張するかのような口付けだった。 「で、何で出なかったの?」 ただ返事をしただけなのに、雲雀さんは下らないと笑った。その下らないが山本に向けられたものだと分かったのは、その後雲雀さんが続けた言葉。「誰も別に、を奪おうなんて思ってないのにね」私は返事が思い付かず、ただ曖昧に笑った。何で笑ったのか、私自身にも分からなかった。まあいい、と言って雲雀さんはぐいっと私の身体を引くと自分の腕で包み込む。急なことだったので私は抵抗する暇もなく、簡単に腕の中に収まってしまった。雲雀さんの口元が耳に近付いて、吐息が微かにかかってびくっと反応してしまう。 「…もしあの時君を抱いたのが山本武じゃなく僕だったら、君は彼と同じように僕と関係を持ち続けたのかな」 言い終わると同時に軽く耳をかんできた雲雀さんはじゃあね、と笑いながら去る。言うだけ言うとさっさと消える、本当に我が道行く人。それなのに何故だか最後の言葉だけ妙に耳に残って、心に痼りを残した。あれはまるで、私を試すような物言いだ。私と山本の関係がおかしいとでも言わんばかりの。…いや、既に、狂っているのかもしれない。私も、山本も、雲雀さんも、獄寺も、みんな。だって、そうだろう?あれだけのことがあって、普通でいられるはずがない。今だって目を瞑れば甦る、山本に抱かれれば抱かれるほど現れる、鮮明で鮮やかに彩られている思い出にいる、「!」 山本の声が聞こえたと同時に、ぐいっと肩を引っ張られる。体全体で息をしている山本はどうやらここへ走ってきたようで、私は、少しずつまた、彼を思い出す(ああ、嫌なのに)「どうしたの、山本。そんなに慌てて」「いや、お前が雲雀といるのが見えたから、それで」お前のために走ってきた、と彼は言う。そして言うんだお前が、「何もなくてよかった」と、笑いながら。最後に私を抱き締めて、ほっとした声で呟く、「ほんと、命がいくつあっても足りねーよ、」驚かせないでくれよ、と。ああ、これは、誰のこと?誰との思い出?視界が徐々に暗くなる、脳が暗幕に覆われる。違う、違う、これは、山本じゃなくて。「」私が求めてるのはこの声じゃなくて、傍にいればいつも安心する、笑顔の、笑顔の、「…?」笑顔の、「!」 ………つなよし、でしょう?
「お前があんまりも綺麗な顔してるから、ほんと、このままなんじゃないかって、思った」 私は、胸を締め付けられる。苦しくなる。「、、」そんなに、何度も私の名前を呼ばないで。「、、」そんな風に、私の存在を確かめるように、何度も何度も「、、」呼ばないで、止めて、私の存在を確かめ「、、」ないで、私は、私は、「、、」違う、私は、ここになんて、いない。「、、」私がいるのはここじゃなくて、いるべきなのはここじゃなくて、「」そうじゃなくて、 「好きだ」 綱吉の、ところに。 「私なんか、死ねばいいのに」 知らず知らずのうちに呟いたその言葉は、思っていたよりもずっと、私の存在を否定し、空気が、重くなったことが分かった。気付けば、山本の最近さらに大きく男らしくなった手が、私の頬を、容赦なくぶつ。痛さはもちろん大きかったけれど、そのおかげで、私は一気に現実に引き戻された。自分は生きていることを、知る。 「馬鹿野郎。馬鹿野郎。何で、そんなこと言うんだ。ばか。お前は馬鹿だよ、」 そんなこと、知っている。自分がどれだけ馬鹿なことぐらい、誰より私自身が知っている。山本は起き上がり背中を向けて「俺は、仕事戻るから」とだけ言って部屋を出ていく。それまで一度も、山本は私の顔を見なかった。私も、山本の顔を見なかった。山本は、どんな顔をしていた?泣いてた?怒ってた?…苦しんでた?分からない、分からない。ああ、生きてるとはこんなにも難しい。どうして、知りたいこと全てを知ることが出来ないのだろう。だけどそれはひょっとして、死んでも同じなのだろうか。死んでみたら、分かるかもしれない。 「つな、よし」 名前を呼んでも、彼はいないし、映画のように幻として現れたりもしないし、なんとなく綱吉がそこにいた気がしたなんて、勝手な妄想も何もない。ただ、名前を呼んだら静かな部屋に響いて、すぐに寂寞が訪れる。その寂寞は私が何かを言わない限り、途切れることはない。「つなよし、」寂寞。「つなよし、ねえ」また寂寞。「つなよし、つなよし」またも寂寞。「つなよし」寂寞。 「つなよし、愛してる」 すんなりとその言葉が出て来たことに私は驚き、また静寂がおとずれる。愛してた、じゃなくて、愛してる。これが、私の本当の気持ち?それなら、何で私は山本に抱かれたり、なんて。…本当は全部分かってるくせに、汚い自分を見たくないから、私はそれに蓋をする。見ないフリをして、心配してくれる山本に甘えて、それを雲雀さんや獄寺に見せつけ、さも当たり前のように行動する。そんな自分が何より一番汚いと、分かるのに。 夢にも、綱吉は出て来ない。出るのは私を熱く抱いた後哀しく笑う、山本の姿だけ。
綱吉は、温かい人。私が怪我をした時だって、「!」って叫んで走ってきて、「どうしたの、綱吉。そんなに慌てて」「いや、お前が怪我したって聞いたから、それで」お前のために走ってきた、と綱吉は言う。「お前が何もなくてよかった」と、笑いながら。最後に私を抱き締めて、ほっとした声で呟く。「ほんと、命がいくつあっても足りないよ。驚かさないでくれよ」と。いつだって、綱吉は温かかったし、優しかった。私を愛してくれてた。私も綱吉を愛していた。だけど、もしたとえ綱吉が私のことを好きじゃなくても、私はきっと綱吉を愛していた。それぐらい綱吉が好きだったし、きっと、今だって。 静かに扉が開いた。その人は迷わずベッドに近付いてくると、まだ寝たままの私を見下ろす。 「君はいつまで寝てる気なの、」 雲雀さんの手から、鍵がこぼれ落ちる。それは、私も持っているこの部屋…山本の部屋の鍵だった。「僕にこれを渡して『を頼む』だなんて、本当にアイツは、何を考えてるんだ」山本は、私に愛想が尽きたんだろうか。綱吉のことばかり口に出す私を、鬱陶しいと思うようになったんだろうか。「君が僕に襲われても、彼は構わないんだね」捨てられたんだ、私は。山本に、捨てられた。綱吉においていかれた私を拾ってくれたのは山本だったのに、その山本さえも私を、「」 腕をぐっと押さえつけられ、唇が重なる。長い、長い、長い。「ん…ぁ、や…っ」嫌だ、キスなんてされたくない、その先だって、されたくない。「やめて、やめてください、雲雀さん」私はシャツのボタンを外そうとする雲雀さんに懇願する。嫌だ、こんなことは、こんなことしていいのは、こんなことを許せるのは…山本、だけで。 「…君達二人を見てると、いらいらする」 さっきまで乱暴に私を扱っていた手が途端に大人しくなって、いつの間にか私の目から流れていた涙をそっと拭く。私は雲雀さんの行動が分からなくて、ただ、「山本は、どこですか」と問いかけた。雲雀さんは小馬鹿にしたような、だけどいつもよりも優しい目で私を見ながら「考えれば、分かるはずだよ」それだけ言って、すぐに部屋を出ていく。 考えたくなんてなかった。山本は私を捨てていったんだ、わざわざ探すこともない。それなのに、考えなくても山本の行き先が分かった。そして、気が付けば私はベッドから起き上がり、部屋を出て駆け出した。山本への想いなど何もないはずなのに、山本を、追いかけてしまう。
俺がを初めて襲ったのは、ツナが死んだ次の日だった。トップが死んだということでファミリーは一時騒然となり、ボンゴレ幹部がこれからどうするかの話し合いをしている様子を、はただじーっと、それこそ哀しみさえも感じられない表情でそれを見ていた。話し合いが終わり帰ろうとするの手を掴み、ツナの遺体が保管されている部屋で無理矢理。これは、強姦だ。がツナを愛していて、ツナもを愛していて、お互い愛し合ってるのを知ってたくせに、俺はに手を出した。ずっと憧れで、遠くの存在だったに。 を好きになったのはいつだったのか覚えていないけれど、それを自覚した時には、既にもうとツナの関係は有名で、幸せな恋人同士だと微笑ましく見守られていた。俺はが好きだったけど、だけど同じぐらいにツナも大切で、だからをツナから奪おうとか寝取ろうとか、そんなことは考えたことはおろか、思い付いたこともなかった。…今でも、あの時何故自分がを抱いたのか分からない。知らず知らずのうちに、今がチャンスだと心が叫んでいたんだろうか。ツナがいなくなった今がチャンスだと、そう。もしそれなら、俺はなんて卑劣な人間。そんな奴が、ツナに勝てるはずがない。 「…なんかもう、色々わりーな、ツナ」 ツナの墓の前に一人で来たのは、そういえば初めてなのかもしれない。通りかかかった花屋で適当に買った小さな花を添える。ここへ俺が今まで来なかったのは、罪悪感。ツナが死んで、その途端に手を出すなんて俺は最悪だ。ツナは俺の恩人だった。そのツナが俺の好きなと傍にいられて笑っていて、俺の好きなもツナと一緒にいられて笑っていて、俺はそれが見られるならよかったはずなのに、結局は所詮それも偽善だったのだ。 「やっぱ、お前はすげーよ。俺が赤マルチェックしただけある」 ツナは生きてる時も、死んだ時も、死んでからも、の心にずっと残っている。は今だってツナを忘れていない。忘れていたら、「私なんか死ねばいいのに」なんて、言うはずがない。 「なあツナ。…俺さ、ほんとにが好きなんだよ。がほんとに好きで、ツナが死んで悲しむが見たくなくて、それで」 本当はあの時、俺が初めてを襲おうとした時、は絶対に俺を拒むと思ったんだ。抵抗すると思ったんだ。だから、というわけじゃないけれど、そういう期待を込めて襲ったのは、事実だ。そうすれば俺は自分の気持ちにケジメつけて、とも真っ直ぐ向き合えると思った。が愛してるのはやっぱりツナなんだと、自分に言い聞かせることも出来た。 だけどはあの時、俺を拒まなかったんだ。 まず出ていこうとしたの腕を掴み引っ張る。ドアを閉め、鍵をかける。そのままの身体を壁に押し付け口付けを交わした。何度も、何度も、深く、深く。キスだってその時するのが初めてで、俺はそのキスを今でも覚えてる。すぐに、俺は酔った。を好きに出来るという事実にただ酔いしれ、狂ったように、キス。そうしながら片手ではシャツのボタンを外して、ブラジャーを上に上げるとその胸を揉みしだく。強く、そして強く。壊れないように、なんてしてなかった。壊すように、乱暴にを抱いた。しつこくしつこくキスを続けて、片手でそっとの下着を触る。…濡れている。そう分かった時俺は驚いて、一瞬手を止めた。本当に、このまま続けていいのかと。止めるなら今しかないと。俺は迷った。ああ、それなのに…がぎゅっと俺の背中に手を回し、自分からキスなんてしてくるから。長くも深くもないキスだったけど、そのキスは俺の戸惑いを消すには充分すぎるほどで、俺はそのまま下着の中に手を入れた。…後は、言うまでもない。 朝起きて、横にいる何も纏っていないを見て、改めて自分のしたことの罪悪感が胸を襲った。するべきじゃなかった。そう思って、謝罪のつもりでの頭をそっと撫でていると、が目を覚ます。「…やまもと…?」寝起きで気の抜けた可愛い声が、更に俺を責める。「、俺、」ごめん、と続けようとして、の言葉が聞こえた。 「おはよう、山本」 なあ、分かるか?俺は本当にひどいことをしたんだ。愛する者が死んで悲しくない人間がいるはずないのに、そこに付け込んで襲って、本当にひどいことをしたんだ。それでも、は俺に笑いかけたんだよ。おはようって、俺に笑顔を見せたんだ。それが俺には救いで、どれだけ泣きそうだったか分かるだろうか。我慢出来なくなって、俺はまたに覆い被さるとキスをした。キスして、やっぱり昨日と同じことをしようとした。「やま、っもと…仕事、いか、なきゃ…」「黙ってろ」仕事なんかどうでもよかった。ただとキスをして、を抱けるなら、それでいいと。愛しい彼女を、どうしても離したくなかった。 「馬鹿だよなあ、俺、ほんと。そのままずるずる関係続けてって、今もを抱き続けてるんだ。いつも、いつも」 は偶然だと思ってるかもしれないけど、部屋に連れ込むところを雲雀に見られたのだって、やってる最中に獄寺が入ってきたのだって、全て計算の内だ。を取られたくないから、誰にもを渡したくないからという、我侭な独占欲。俺はただを自分のものにしておきたいという一心で生きてきたはずだった。 「でも、ツナ。お前には、適わない」 彼女の心は俺の元になんて最初からなかった。初めて抱いた夜だって、の心はここになかった。ずっとずっと、ツナのことばかり考えていたんだ。俺は、どうすればいいんだろう。これから、どうやって生きていけばいい? 「山本!」 の声が、聞こえた気がした。
どうして山本のいる場所が分かったかなんて、なんとなくとしか言い様がない。雲雀さんが考えれば分かる、と言って、何でそんなこと考えなくちゃいけないんだと思う前に、頭に場所は思い浮かび、ベッドから起き上がり部屋を飛び出し走っていた。一目散に、走り続けた。何も考えていない。目的も何もない、走行。目的地だけ決まってる、走行。 「山本!」 思った通り、綱吉の墓の前で座り込んでいる彼の後ろ姿が見え、その名前を大きな声で呼ぶ。山本は私の姿が信じられないようで、目を丸くしながらも腰を上げた。「どうしたんだよ、」困惑している山本に笑顔を作ると、容赦なく右手で山本の頬をぶつ。突然のことに対応が出来なかったらしく、山本は軽くよろけた。 「何が、を頼む、よ。ふざけないでよ。何で山本が、そんなこと言うの」 私は真っ直ぐ睨む。山本は私の睨みより私の言葉に驚いたらしく、「捨てたって…」と小さく呟いた。「捨てたじゃない」容赦せずに私は言葉を続ける。 「キスしたくせに、抱いたくせに、いらなくなったらポイするの?そんなつもりで私を抱いたの?」 普段滅多に大声を出さない山本が、大声で叫んだ。私を抱き締めて耳元で聞こえる山本の声は、すごく、苦しそうで。 「俺はお前が好きなんだよ。好きで好きでどうしたらいいか分かんないんだよ。こんなに好きで誰にもお前を渡したくないのに、ツナには結局勝てなくて。ツナのこと考えてるお前見てると、むちゃくちゃにしたくなって」 山本へ返す言葉が見つからなかった私は、山本の腕が緩んだ隙に、私よりも背の高い山本に届くよう精一杯背伸びをして、口付けた。少しして離そうとしたらいつの間にか山本の腕が私の背中に回っていて、舌が侵入してくる。私はもう息が続かないというのに山本はまだまだと言わんばかりにどんどん口付けを深くしていく。だんだん苦しいはずの口付けが快感にかわっていき、山本の服をぎゅっと掴んだ。…ああ、これが、口付けに酔うということか。唇を離した時はお互い息も絶え絶えで、吐息が漏れた。 「っは、ぁ…やまも、と…」 「でもそれなら、死ぬ時は山本と一緒じゃない」 私は笑う。山本に、笑いかける。山本は突っ立ったまま、こっちを見て動かない。 「」
綱吉の墓の前でこんなことをするのは駄目だって分かってるのに、私は今でも、山本を拒めない。…拒みたく、ない。
「綱吉のお墓、来たの初めて」 一段落着いて、散らばった服を着ながら墓を見る。墓は綺麗に掃除されていて、綱吉の人柄と人望を思い知る。「初めて?」「そう、初めて」墓の横に咲いている小さな花を摘むと、それをそっと墓の上に置く。「どうしても、お墓の前には来たくなかった。…死んだってことを、信じたくなかったのかも」私は苦笑を漏らし、肩を抱き寄せてくれる山本に従い頭を預けた。風が通り過ぎる。 「…そろそろ行くか」 じっと見ているうちにやっぱり簡単に割り切ることなんて出来なくて、涙が出そうになったところで山本が呟く。私は涙を拭いて、頷いた。山本は私の目元に優しくキスをする。帰り始めて、最後にもう一度私は振り返ってお墓を見つめた。綱吉、綱吉。いつも私に笑いかけてくれた綱吉。私を愛してくれた綱吉。私を拾ってくれた綱吉。私が愛していた綱吉。 「綱吉、愛してた」 過去は振り返らない、振り返りたくなった時には前を向こう。前を向けば私を待ってくれる人がいる、「!」と叫んで、笑ってくれる人がいる。綱吉においていかれた私を拾ってくれた、山本がいる。 「まずは雲雀に鍵返してもらわなきゃなー」 繋いだ手から、山本の人柄のような温かさが伝わってくる。芯から温かい、山本の手。
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