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がしっ、と音がして、私はばっちり右手でその標的を捉えた。…ちょっと、強すぎた?なんかすっごい音がしたし…いやでもこれぐらいしないと、私が、危ない。 「おいおい何やってるんだよー。これじゃキス出来ないだろ」 すっとぼけた声を出しながらも彼の顔は動く。と、とと止まれー!私も負けじと右手でしっかり武の顔を掴んだ。なんか真正面から顔を掴んでいるのでちょっと怪しい図になってるかと思われる。だけどこの際周りの見た目とか気にしてる場合じゃないよ! 「い、いきなりキスとかすんな!迫ってくんな!」 図書館にいたらいきなり壁に追い込まれ、挙げ句の果てに左手首を武に掴まれ、顎に手までやられてキスされそうになるなんてどういうことなんだ一体。顔掴まないと絶対キスされてたよこれ! 「図書館だったら人来るから!まじ勘弁して!」 すっごい裏が有りそうな笑顔で笑うから絶対何かあると怪んでいた私はすぐに奇声をあげることになる。いや、ていうか、あの、ほんと、ありえない、でしょう。真正面から掴んでいる私の手を、な、舐める、とか。掴んどかないとキスされる、でも掴むの止めないと手をいつまでも舐められる。き、究極の選択!気付けば武は私の顎にやっていた手で私の右手首を掴み、すっかり逃がさないようにしていた。ずっと舐め続ける。 「ちょ、武、やめ…やっ」 こ、この変態めー!私はこんな変態と付き合ってた覚えないぞ…!けれども舐められて、私が大人しくなったのは事実だし、そんな私に、武は囁く。「キスさせてくれたら、止めるけど」なんてずるい言葉なんだろう。等価交換、だなんて。 「何で、そんな、キス、したいの」 「ただ単純に、に、キスしたいから」 はぁ?率直すぎる答えにそれでもキスを許してしまったのは、その時の武の表情が真剣そのものだったから。こういう時だけ真面目になるなんて…やっぱ武はずるい。いつもより長いキスに上手く息が出来なくて、口が離れた後大きく息を吸う。 「ばか、武!なが、すぎ!」 ああ、さっきの真剣な表情は一体何処に?今の武ったら、すっかり狼の表情だよ。(だから、男は狼って、言われるんですか?)
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(キスしたいっていうのは、愛してるってことだよ、)