私と山本君が付き合い出しておよそ1か月程。俗にいう熱烈最盛期の時期なわけで。

「おい。社会のノート見せてくんねーか?寝てて写せなくてよ…」
「あ、うんいいよ。えと、はいこれ」
「お、サンキュー…っておい山本!何やってんだおまえ!」
「悪いけどのノートは俺専用。ほら、俺の見せてやるよ」
「…!(俺専用って何だよ何でそんなさらっと口説けるんだよ…!)」

社会のノートを鞄から取り出し獄寺君に差し出す。獄寺君がお礼を言いつつ取ろうとしたその時、横から伸びてきた手がそれを先に取った。そこにいたのは笑顔の山本君。山本君が言った『のノートは俺専用』の言葉が妙に恥ずかしくて、赤くなった顔を隠すために下を俯く。

、もう俺以外のヤツにノート見せちゃ駄目だからな」
「…う、うん……」
「(そこ納得しちゃうのかっていうか何さり気なく山本の奴の頭撫でてんだよ俺が目の前にいるんだぞ恥ずかしくないのかよ俺の存在無視かよ!)」

素直にこくんと頷くと頭をよしよしと撫でられた。ぎゃー!更に頬が熱くなってまたまた下を俯く。山本君の手は、魔法使いの手みたいだ。山本君の手が触れるだけで私の身体は一気に熱を帯びる。あと、心がなんだかぽかぽか温かくなる。あったかくて…そう、"しあわせ"って言葉が一番しっくりくる気がする。

「そんなに熱々したいんならおまえら授業サボッて屋上でも行けばいいだろ」
「…そうする?
「え、ええぇぇぇ…っ!?」
「はは、嘘だよ嘘。そんな焦らなくったって」
「び、びっくりした…」
「全く…ほんとは可愛いなあ」
「!(今こいつ可愛いって言いやがった小さい声だけど可愛いって言いやがった小さい声だけどにはばっちり聞こえるように可愛いって言いやがった!)」

小さな声だけど、でも山本君が言うのが聞こえた。「可愛い」って。こ、今度は魔法使いの口だよ…。かわいいってたった4文字、漢字にすればたった3文字の言葉だけで心臓がどきどきする。それと同時に、やっぱり"しあわせ"だって思えるぐらい、心がぽかぽか温かくなる。

「獄寺はいいよなの隣で。授業中もいちゃいちゃ出来る」
「いちゃいちゃ…!?」
「や、山本君!」
「何だよほんとのことだろー。昨日だって」
「そ、それ以上は言っちゃだめ!」
「(き、昨日こいつらに何があったんだは山本に何されたんだいちゃいちゃって何だ山本に何されたんだ!)」

山本君に続きを言わせないために手で口を押さえようとしたけど身長が届かなかった…ちょっと悲しい。とにかく山本君の制服を掴んで言っちゃ駄目だと必死に訴える。分かってくれたのか「分かったよ」って笑ってくれた山本君は、やっぱり優しいと思う。(意地悪してもすぐこうだ)

「それより山本。おまえ野球の練習はいいのか?休み時間はいつもしてただろ」
「あー。それ代わりに帰ってから自主練することにしたんだよ」
「?わざわざか?」
「一人の方が練習に精が入るしさ。…それに、ともなるべく一緒にいたいしな」
「…山本君……」
「(何口説いてんだ人の目の前で何口説いてんだよ!)」

ほ、本当に山本君って人を喜ばせるのが上手だ!一緒にいたいとか言われたらほんと、すっごく喜んじゃうんですけど。恥ずかしながらも頑張って顔を上げたら山本君と目が合った。合った瞬間、山本君はにこって笑う。わ、わー…!すごいかっこいい笑顔…。私なら人と目が合った時そんな風には笑えないよ。山本君って、すごい。

。ちょっと屋上行かねーか?」
「屋上?」
「授業始まるまであと少しだけど…それでもと二人きりになりたいからさ」
「!」
「駄目、か…?」
「う、ううん!全然だめじゃないよ!」
「そりゃよかった。じゃ、行こうぜ」
「うん…」

じゃ、行こうぜ。って笑顔で言いながら山本君はぎゅっと私の手を握ってくれる。…魔法使いの手は、やっぱり魔法使いの手だった。握ったら、思ったよりもちょっとごつごつしてて、ああ男の子だなあなんて再認識。そして思った通りあったかい。「山本君の手は心に比例してあったかいんだね」そう言ったら「の手があったかいのと同じ原理だな」と返して来た。温かくて幸せで、神様が今目の前にいたら素直に感謝出来るだろうなと思った。ありがとう、神様。私は幸せです。




「ご、獄寺君どうしたの!?体調すっごい悪そうだよ!?」
「じゅ、10代目…俺はあいつらをなめてました…」
「え?」
「俺はもう、あいつらとは一緒にいたくないです」






青春の1ページ恋物語
「あいつらと一緒にいるとひやかすどころか逆にこっちが疲れてくんだよ!」(獄寺君心の叫び)