かなしくて、かなしくて、かなしい。





ぽつりと、涙が一雫落ちた。それをきっかけとして、また一粒、一粒と流れる。ああ、哀しい。悲しい。胸が今にも張り裂けそうなのになんとか保っているのは、涙という形になって思いが少しずつ流れているからだ。何で哀しいのかと聞かれても、理由なんかない。理由なんてないから誰にも言えないんだ。こんなこと。辛いことなんて何もないのに…いや、そうじゃない。ちゃんと、分かっているんだ。だって私も成長した。何も考えずに生きてた頃とは違って、大人になった。だから分かるんだよ。何で哀しいのか、そして、それを口にしちゃいけないことぐらい。口にしたら、全部が終わる。全てが、無に返る。だから言えない、言えないし…考えちゃいけない。哀しくなんかない。悲しくなんかない。泣いてなんかいちゃいけない。泣いちゃ、だめ、なんだよ。

だから、そんなこと、しないで欲しいんだ。そうやって私の名前を呼んで、抱き寄せて、ぎゅうっと優しく、抱き締める。それだけで私は、また泣きそうになる。胸が、苦しくなるんだよ。泣いちゃだめなのに、強くなれないのに、貴方の全てが私を脆くするから…もの凄く、泣き、そうだ。もう、あの頃には戻れない。生きることの意味も考えずに楽しく生きていた頃には、もう戻れない。だから…もう、そういうことは止めて欲しい。不思議と、貴方という存在は私が纏った殻全てを剥ぎ取ってしまうようなもので、それと同時にどうやら私とは対極の存在だから、遠ざかりたくても近付いてしまう。…引き、寄せられる。

もう、止めて欲しい。何度も私の名前を呼ぶのは、止めて欲しい。私と貴方は反対だから、きっと出逢っちゃいけなかったんだよ。貴方は闇を受け入れ、私は闇を拒絶している。貴方は光を拒絶し、私は光を受け入れようと努力している。…だから、正反対、だから。私と貴方を合わせたらどうなるか…分かるでしょう?きっと、全部が壊れちゃうよ。何もかもがおかしくなっちゃうよ。もしかしたら、世界がどうにかなっちゃうかもしれないよ。死んで、しまうかもしれないよ。それなのに…どうして、いまだに。

そこまでやるなら、教えて下さい。ずっと不思議で、そして哀しかったこと。それが分からないから私は一人でずっと悩んで、ずっとずっと苦しかった。気付いてしまった時から、変わっちゃったんだよ。気付く前の方が幸せかと聞かれたって…分からない。…どちらにしろ、同じだった気がする。気付かなかったら気付かなかったで、どこか、心の奥底に大きな穴が空いている気がして、結局哀しいことに変わりなかった。…そうか。だったら、気付いた方が、よかったのかな。気付いたから、哀しい理由も分かった。口には決して出せないけど、ちゃんと分かってる。じゃあ、改めて、聞いてもいいですか?私…きっと泣いてしまうけれど、貴方を信じてみても、いいですか? 受け止めて、くれますか?

「泣かないでください。…



(なんで、わたしは、いきてるの?)



ぽつりと、涙が一雫、落ちた。




いきること