最強最悪風紀委員長の強制その2!







が風紀委員に入ったのは委員長の強制でだったな。まあ年下なのに委員長に怯えないのを見ると度胸あるなって心から思う…俺なら無理だ。あと性格を含めてはかなり可愛いな。行動を見てると飽きない。ずっと一緒にいたいと思…こ、これ委員長には言うなよ何されるか分かんねーから!」(苦労しまくりの風紀副委員長草壁さんより)




放課後、応接室へ向かう途中でも私の気分は上々だった。明日からの朝のことを考えると本当に楽しくなって鼻歌でも歌いたくなる。(実際歌ってる)(因みに校歌を)風紀委員に入らなくちゃいけなくなってしまい今日はバッドデイだと思っていたけれど、案外そうでもないのかもしれない。人間良いことがあると悪いことがあるって本当だな…。ちゃんと帰りは「ボスさようなら!」「うん。また明日、」って言ってもらったし…!うわあもうテンション上がるわ嬉しすぎる!

…と、思ってたのに。

何でだろう、応接室へ向かう途中の道のりは確かにうきうきだったのに、いざ応接室の前へ着いたら途端に気分ががくっと落ち込んだ。あれ、これ何で?さっきまでのうきうきは何処に?朝キスされたことを思い出してしまったが最後、更に落ち込んだ。…ああ、何かもうだめ。私、この部屋に入る勇気がない。応接室の扉の前で立ち止まり、どうしようかと考える。放課後でがやがやと騒いで帰る生徒が多数後ろを歩いているのが分かった。(ひそひそと私のことも話している気がする。…応接室の前にいるからかな)時間が何時間も経ったような感覚に陥った時、助け…なのかよく分からない一声が部屋の中から響く。

「いつまでそこにいる気。早く入ったら?」

ぎゃー!雲雀さんの声だよ…!これ以上扉の前で突っ立っていたら絶対に殺される、そう思って「失礼します!」急いで中に入った。中には一人書類?みたいなのを眺めている雲雀さん。…ひ、一人ですか。だ、だめだだめだ弱気でいちゃあ!そう、朝のは不意打ちだったからで、次キスされそうになったらちゃんと避けれる、大丈夫!…そういえば雲雀さん、何で私が外にいるの分かったんだ?

「あの…雲雀さん。質問していいですか?」
「なに」
「(尋ねにくい…!)えと、何で私が外にいるって分かったんですか?」
の匂いがしたから」
「(…どうしようこれ何て返せばいいんだ)」
「冗談だよ」
「(笑えない…!)」

たくさん突っ込むところがあると思うんだけど雲雀さんに言い返すなんて恐れ多くて出来ない。…これ以上下手なことするとほんと何されるか分かんないからね!一人で冗談だよと話を完結させてしまった雲雀さんはどこからか携帯を取り出した。それを目の前にかかげる。

「これ」
「携帯?」
「これで草壁と連絡を取ってたんだ」
「くさ、かべ…?」
「風紀副委員長だよ」

リーゼントの。そう付け足されても正直誰だか分からなかった。だって風紀委員は雲雀さん以外皆同じような感じだし…。…ん?待ってよ、連絡を取ってた?「…その草壁さんは今どこにいるんですか?」「廊下だよ。もういいよって言わなきゃね」「もういいよ、とは」「君の尾行」そんなことだろうとは思ってたけど…なんてことだ、この人、私がちゃんと応接室に来るように委員会の人に見張りをさせてたのか…。逃げる、確率がないわけじゃないし仕方ないと言えば仕方ないんだろうけど。…色々、間違ってる気がする。(委員会の人に尾行させることとか)

「で、朝の返事は?」
「わざわざ聞く意味もないと思うんですけど…」
「君の口から聞きたいんだよ」
「……入りますよ、風紀委員」

ボスのため、だし。流石にそれまでは言わないとしても、心の中で付け足す。私の返事に雲雀さんは「そう」と満足そうに笑うと「風紀委員の面々に紹介はまた今度として…まあ簡単に風紀委員の説明でもしとこうか」案外真面目な話に持ってくる。…なんか、普通の委員会みたいだ。風紀委員、って普通の委員会とは違うイメージがあったんだけどなあ。それはただ単に雲雀さんが委員長だからなんだろうか。

「まず原則として授業は不参加」
「…は!?」
「風紀委員には仕事がたくさんあるからね。…文句あるの?」
「当たり前じゃないですか!授業参加出来なかったら私はいつボスの姿を拝見すれば!?」

授業中だけは許せない、自分の欲望を加えてしっかり反抗する。雲雀さんはそんな私に一瞥すると「………」と言葉もなく目をそらしてしまった。…ま、負けないぞ私!だって、ボスの姿を堪能出来るのなんて授業中ぐらいなんだ。その時間仕事って…。…ていうかそれ以前に、学校に来て授業も受けずに風紀委員の仕事はおかしいでしょう!?

「絶対嫌?」
「はい、絶対嫌です」
「咬み殺すって言っても?」
「これだけは何が何でも譲りません」

真っ直ぐ睨んで言い放つ私。雲雀さんははあ、と溜息をつくと少し笑った。…笑っ、た。いいいい今笑うとこだったっけ!?「君は頑固すぎだ」とか言って怒る場面じゃないの!?雲雀さんの笑いのツボは、謎だ。

「じゃあ仕方ないね。授業は参加許してあげるよ」
「あ、ありがとうございます!」
「その代わり、朝は早く来ること。僕が学校に来て10分以内には来ないと…咬み殺す」

「はい分かりました」と言おうとして私は口を閉じた。…あ、さ?朝?モーニング?そして雲雀さんの10分以内?まさか、嫌な予感を感じた所に最後の追い打ち。「因みに僕は軽く学校が始まる1時間以上は前に来てるから」死刑宣告だ。朝起きれないどうしよう咬み殺される、一時間も前とか絶対無理だよという心配よりも、ボスと一緒に朝行けないとか夢の朝登校がとか私の理想が音を立ててがらがらと崩れ落ちるショックの方が大きかった。授業参加しなければ…ああでもだめ、授業時間は一日の殆どを占めてるんだ。たった一時のボスとの交流よりも…あ、だめだ、泣きそう。

「そういうことだから。、明日からよろしくね」
「…は、い」

死にそうになりながらも声を振り絞って必死に出す。足取りは行きとは違いふらふらしていて、気分も行きとは違い下々(そんな言葉はないけど)だった。今強風が吹いて来たら私はきっと簡単に吹き飛ばされてしまうだろう。応接室を出て、学校を出て、人のいない通りまで来て、私は心の中で一番言いたい言葉を叫んだ。

「っひばりさんのばかー!いじわるー!」

誰にも届かないその叫びは、夕焼けと一緒に消えていく。(明日なんてもう知らない!