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ごめんなさいボス。もう一度謝ってゆっくりと深呼吸する。ボス達が一方的にやられたんだったら…相当の腕のはず。油断は禁物、か。自分の武器を確認して応接室の扉に手をかける。そのまま丁寧な動作で扉を押した。 「…君、誰?」 一人。一人の学生がソファに座っている。その人から目は離さず、ざっと部屋を見渡した。…随分豪華な部屋。流石は教師も恐れる風紀委員、ってとこか。(因みにこれは山本情報)男の人はソファから腰を上げると、もう一度口を開く。「…何しにきたの。こんなところに一人で」今度は私が答える番だ。一言一言聞こえるように、呟く。 「…仕返し、しにきたの」 仕返し、という単語を聞いた途端何が楽しいのかその人は口角を上げる。ぴん、と空気が張りつめたのが分かった。空気でこれか…うん、この人は強い。今までの経験上、人の強さは見て大体分かるけど…かなり、強いみたい。………久しぶりに楽しめそうだ。いつの間にか自分まで笑っていることに気付いた。身体が騒ぐ。 「いくよ」 言葉が紡がれると共に一瞬で間合いを詰めてきた。どこから出したのか、その手にはトンファーが握られている。一秒も経ってないこの動作、彼だって私を倒せたと思ってだろう。…だけど残念ながら、そこまで私は弱くない。 「…!」 まるで時間が止まったかのように彼は動かない。…正確には、動けないのだ。…私の所為で。この部屋に入ってきて全体を眺めながら、私は部屋一体に糸をしかけた。この糸を引けばそこの糸がこうなる…そういうことを全て熟知して。あとは簡単だ。彼が動くのが見えたら、その動きを止めるように糸を引けばいい。狙いどおり、彼のトンファーは私の糸に絡まって動かせずにいた。糸自体はそこまで強いものじゃなくても、引き方や角度次第では…かなり切れる。これで勝負は終わり、かな。どうしようかと考え始… ブチブチッ …。 「……武器、壊れちゃうって言ったよね」 …どうやら私も甘かったらしい。気付けば糸を切られ、トンファーにまだ糸が付いているか振って確認までしている。少し気を緩めていたとしても…一応、そんな簡単には切れない糸なんだけどなあ。やっぱり凄いやこの人。戦い慣れてるとかそういう以前に…戦いが"好き"みたいだ。この人は、知識じゃなくて本能で戦ってる。 「まったく…君も油断出来ない。何もしていないフリをして部屋中に糸をしかけてるんだから」 もう、そこまでバレているのか。と、なると…小細工は無用。正々堂々、真正面から。 「…じゃあ、やろうか」 ボスの仇を取る!
「ちょっと。いきなり止まって何?もう諦めた?」 だっ、と扉に向かって突進する。「…逃がさないよ」ぶん、と殴り掛かってきたトンファーをさっと避け(この間も走るのは止まらない)(だって早くしないとボスが!)応接室を出る。「あ、」振り返って叫んだ。「貴方も知っての通り部屋全体に糸しかけてあるから!調節してた私がいなかったらほんと冗談抜きでよく切れるから注意してね!」 よっし待っててくださいボス害虫駆除は私におまかせ!(仕返しよりも害虫駆除!) |