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たくさんの生徒達がじろじろと一か所を見ていることに気付く。ん?となんだか頭に引っかかり何事かと見てみればそこにはボスを始めボスのお母さまやビアンキやハル達がいた。…やっと、見つかった。上がった息を整える。思ったよりも時間がかかってしまった。さあ行こう、としたところで周りに群がっていた人達の声がやっと聞こえてきた。「あれがA組総大将だぞ」「あいつが指示したのか」「最悪だよな」A組総大将…つまりボスへの悪口。何で、ボスがそんなことを言われなくちゃいけない?驚いて止まってしまった私の足下に、気付けば師匠が立っていた。 「師匠、これは…」 ボスの所為なんて…ボスが、そんなことをするわけないのに。たくさんの人に見られているボスは居心地悪そうにお弁当を食べている。その前にはハルが立ってツナの代わりに弁護をしていて、ビアンキはそんなハルの後ろに立っている。…ボス、ボス。辛そうだ、ボス。風邪を引いていながらも総大将だからと頑張って体育祭に参加しているのに、浴びせられる暴言。やってもいないことで疑われている。……それは、きっとだめなことだ。 「お前はどうすんだ、」 難しいことは分からない。だけど、私には分かるんだ。今しなければいけないこと。さっき雲雀さんが手をおいた頭に手を触れる。…うん、大丈夫。信じるって決めた。頑張るって決めたんだから。
「っボスの、A組総大将の悪口を言わないで!!!」 ボスの周りを囲む人達の間を縫って、ボス達の前に抜き出る。「…」驚いた顔でこっちを見るボスに笑いかけ、身体を反転させると私は叫んだ。「ボスはそんなことはしない、こっそり襲うなんて、そんな卑怯なことはしない!」たくさんの生徒達をぎっと睨む。少し相手が怯んだのが分かった。1人、また1人とボスの周りから離れていく。 「、ありがとう。…あと、ごめん」 後ろに立っているボスの声が聞こえる。…何で、ボスがそんなに申し訳なさそうに謝るんだろうか。悪いのは私…ううん、違う。きっと誰も悪くない。獄寺も私もボスも雲雀さんも山本も皆みんな悪くない。ただたまたまそれが複雑に絡み合って、ややこしくなっただけ。壊すのは簡単、直すのは難しい。…だけど、決して直せないわけじゃない。 「ボス、ごめんなさい」 ずっとボスの傍にいて、ずっとボスを守っていようとそう思ってた。ボスを守ること以外にやることなんてないと思ってた。始めは無理矢理なった風紀委員。それを自分からやりたいと考えるようになるなんて、想像もしなかった。大切なものが二つあるというのは大変なことかもしれないけれど、居場所が二つあるのは、きっと、素敵なことでしょう? 「風紀委員をやりたいです。…でも、私はボスの傍にもいたい。駄目、ですか?」 私もボスも黙り、周りも静かで沈黙が続く。少し沈黙が怖い。ごめんなさいと謝った時のまま頭は下げっぱなしで、ボスの表情が分からないから更に怖い。泣きそうになったけれどぐっと堪えて目を瞑る。 「だっ…駄目なわけないだろ!!」 ボスの大声がグラウンド中に響いた。「頭上げてくれよ、」ボスがいつもより少し強い口調で言うからすぐに顔を上げると表情が険しくなっている。…怒って、いる? 「何でそんなこと聞くんだよ。俺が駄目とか言うと思ってるのか?にやりたいことが出来たならそれでいいと思うし、それに…風紀委員になっても俺の傍にいたいって、そう言ってくれるなら………俺は、それで充分なんだよ」 最近の私は泣き虫だ。すぐに泣いてしまう。悲しくて嬉しくていっぱい泣いたけれど、今の涙はきっと後者の方だ。ボスの言葉が嬉しくて、怒ってくれたことが嬉しくて、涙が出る。「…ありがとう、ございます」泣きながらもお礼を言った私にボスが見せた表情は、「ほんと、仕方ないなあ。は、泣き虫だね」紛れもなく、笑顔で。(全てが吹っ切れた気がする。心が、温かい) |