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「どうしたんですか?こんなところで」 半ば愚痴のように漏らすと「それ、本気で言ってるの?」なんて雲雀さんが言うもんだからそれ以上何も言えなくなって私は黙ってしまった。うーむ、学校行事に参加することを本気で言ってるのなんて言われるとは…つくづく雲雀さんておかしな人だよなあ。そういえば学ランも並盛中の制服じゃないわけだし…この人本当に風紀委員やっていいの?初めに考えるべき疑問に今更ぶち当たる。ほんと、今更だ。 「でも楽しいですよ、体育祭。皆が一致団結して優勝を目指すわけですし、白熱というか、盛り上がります」 吐き捨てる雲雀さんに言い返す言葉もない。皆で一致団結、が体育祭の長所だけどそれが嫌な雲雀さんにとっては最悪以外の何者でもないよなあ。雲雀さんがリレーで走るところや体操服を着ることも想像出来ないと前に言ったけど、それでいうならクラスの皆と一致団結してるところなんて想像出来るはずがない。また思い出して笑いそうになってしまったけど、必死に抑える。そうでもしないと元々体育祭の所為で微妙に悪そうな雲雀さんの機嫌が更に悪くなってしまう。 「。君、お昼はどうする気。確か一人暮らしだったよね」 …え? 「何やってんだよ、クラスの女子が探してた…って、え、ヒバリさん!?」 そんなはずがない、そんなはずがないと自分に言い聞かせつつもそれを信じられるわけなかった。…私が、この私がボスの声を聞き間違えるはずないんだ。どうして、だろうか。元の関係に戻れる日も近いと信じていたのに、こんな、あっさり。 「そんなの、が風紀委員だからに決まってる」 雲雀さんが困惑しているボスを鬱陶しそうに眺めて言うと、ボスは当たり前のごとく大きく反応した。雲雀さんを見て、私を見て、を繰り返すうちに少しずつ表情が強張っているのが分かる。ちら、と私を見ながら、おそるおそる口を開く。 「、嘘だろ…?」 嘘じゃない。嘘なんかじゃないんです、ボス。下を俯いている私にはボスの声が上から降り掛かってくるような錯覚に陥って、零れ出しそうな涙をこらえて首を横に振る。「…本当、なのか?」信じられないのか確認してくるボスに、ゆっくりと首を今度は縦に振る。どうしたらいいのか分からず、ボスは口をすぼめた。私は俯いたままで、雲雀さんはただ黙って私とボスの様子を眺める。遠くで体育祭のためわーわー歓声を上げる声が聞こえてくるのに、この空間だけは現実から切り離されたみたいに静かだった。どれぐらい経ったか分からないけれど、突如大きな声が響く。 「おい、ダメツナがいないぞ!」 クラスの男子の会話が聞こえ、ボスがはっと我に返り声のした方を見る。 「ご、ごめん俺もう行かなきゃ…じゃあ!」 慌ててそう告げると、走り去ってしまうボス。少しずつ、ボスの姿が遠くなる。ああ、ボスが今から活躍するんだ。応援しなくちゃいけないのに、足が、動かない。進まない。…追い付けない。 「……ボス…」 もう、駄目ですか?やっぱり元の関係には戻れませんか?私が悪いんですか?何が悪いんですか?どうすればいいんですか?どうすれば今までと同じようになれますか? |