全て話しなさい野球少年よ!







「うーん、 なあ…面白い奴だよな。なんつーか、見てて飽きないっていうの? の行動一つ一つがかなり俺のツボなんだよなあ…。ツナに一生懸命なトコとかも逆に可愛く見えるしさ。ただちょっと無鉄砲すぎるトコは直して欲しいかもな。…心配で目が離せなくなっちまうんだから。ま、それはそれで好都合だけど」(爽やか笑顔の山本君より)




「あーもう駄目。ねえ山本、席立っていい?」
「まだ授業中、駄目に決まってんだろ」
「あぁぁぁムカつく!何でボスの隣があいつなの!?くっそ神様ひどすぎる!」

一番後ろの席の利点その1、授業中寝ても先生にばれない。その2、クラスが見渡せるのその2にあたる利点の所為で私のイライラは最高潮だった。いや、一番後ろでボスが必死に頑張って勉強してる姿が見えるのはいいんだよ?だけど、だけどさ。




「次の問題を…沢田!」(ボスをあてやがった英語教師)
「え、つ、次って……っ!?」(分からないのをあてられて焦るボス。頑張れ!)
「10代目10代目。答えは"has changed"ですよ」(そこでわざわざ教える爆弾狂。ボスが考える邪魔すんな!)
「あ…は、はずちぇんじどぅ…?」(困りながら発言するボスもまたよし!)
「発音が悪いけど…まあいいだろう」(発音悪くなんかないわよこの英語教師め!)

「…さっきはありがとね、獄寺君」(ボス笑顔)
「いえいえ。当たり前のことをしたっだけすよ」(…死!)




駄目ださっきのやり取り思い出しただけで苛ついてきた…。「… 、大丈夫か?」「大丈夫じゃない。ねえ山本、席立っ「駄目だって」余程私が苛ついてるのが表立っていたんだろう。苦笑しながら尋ねてくる山本にさっきと同じ答えを返す。…でもこれって酷くない?私ほどボスのことを考えてる人はいるはずないのに、なんで獄寺に負けてるの私。何でこんなとこで我慢しなくちゃならないの私。

「(授業終わったら獄寺ぶっ殺す…っ)」
「(なんか縁起でもないこと考えてんなあ…)なあ 。ずっと考えてたって苛つくだけだしなんか話さねーか?」
「山本と?」
「そ、俺と」
「………まあ、いいけど」

特に山本と話したいという願望も話して得られるメリットもない気がしたけど、どうせ授業なんて聞いてもつまらないし前を向くのはもっと嫌だし(ボスと獄寺が同じ視界に入ることが許せない)、それならまあ断る理由もないのであまり気乗りしないように頷く。山本もそんな私の考えを見抜いているのか、少し苦笑い。「おまえ、ほんとうツナ好きな」「そりゃあね!ボスは最高に最強で偉大な方だもの!」ぐっと拳を握って力説したら笑われた。何で笑うの。口を尖らせて尋ねれば簡潔に答えが返って来る。「いや、あまりにお前がツナ一筋すぎて…面白い」

「ボスは一人でしょ?一筋なのは当たり前じゃない」
「そういうことじゃないんだけど…ま、いっか」
「…?」

一人納得出来たとばかりに話を止めてしまう山本。…何なんだ、一体。よく分からないので横にいる山本をずっと見ていたら、いきなりこっちを向いて「あと一つ、聞きたいことがあるんだけど」と言ってくる。「いいよ、話して」私が言うと本当に一つ、尋ねてきた。…すごく、へんな、ことを。

「おまえはさ、ツナのこと好きっていうけど…それはどういう好きなんだ?」
「…どういう、って?」
「んー…ああ、分からないならいいんだ。悪い、気にしないでくれ」

また山本は勝手に話を終わらせてしまう。分からないことがたくさん残された私はどうすればいいんだ!必死に考えてみても全然答えは出そうにない。なんか心なしか頭がぷすぷすいって煙が出てる気がする…。くすっと笑う声の方に目を向ければ山本が笑っているところだった。

「…何よ」
「真剣に考えなくていって言ったのに…ほんとお前はツナ関連になると人が変わるんだから」
「当たり前でしょ!ボスに危害を加えるものは誰であっても許さないんだから!とりあえず叩きのめすわよ」
「ははっ。…じゃあ、あの時お前がいたら風紀委員の奴は叩きのめされてたなあ」
「…風紀委員?」

聞き覚えのない単語を繰り返す。風紀、委員。頭の辞書で調べてみた。『風紀委員…風紀を守る委員会。校則などを破る人達を取り仕切る集団』。…その風紀委員が何、を?

「山本。風紀委員が何をしたの?」
「あ…っ(やべ…!)」
「(今あからさまにやばいって顔したな)…山本?」
「………………(め、目が笑ってねーよ…!)」
「………山本君?」
「うわ、ちょ、まじ勘弁してくれ…。口がすべった…」
「口がすべったってことは何か隠してるんじゃない!言って!ボスに関係することならなおさら!」
「………………」

山本は本当に言いたくないみたいだ。…仕方ない、そこまで言いたくないなら無理に強要しちゃ駄目だよね…なんてことになるわけがない。たとえどれだけ嫌がっても最終的には聞き出すに決まってるでしょうだってボスのことだもの!でも何で風紀委員なの?ボスは校則を破ったりするような爆弾狂とは違うし…。まあ考えたって答えが出るはずがない。ここは山本に聞くしかない、か。

「というわけで山本、早く教えて」
「っあー……ツナごめん…!」

ぽつりぽつりと山本はこの前のことを話し出す。その間は私もじっと耳をすましていて、苛々した気分なんてどこかにふっ飛んでいた。(そりゃあこんな話聞けばふっ飛ぶよ!