「ねえこんなことしちゃうなんてあたし頭おかしいのかな、」

急に彼女は何てこともない風にぼそりと呟いた。その呟きがあまりに自然すぎて僕は見逃してしまうところだった。(気付けてよかった)

「そんなことない 君はおかしくなんかないよ」
「でも、ただの失恋、しかも人生で1度の失恋で死にたくなるほど傷付いて、その傷を癒してもらうために他の人に抱いてもらうなんて あたしはきっと馬鹿だよ」

何でそんな悲しいことを普通の顔して言うんだ。辛いなら辛い顔すればいいのに。そう思ってさっきまでの素肌の感触を楽しんでいた自分の右手で彼女の頭を撫でる。(不思議なほど彼女の髪は気持ちがいい)僕の思いが伝わったのかは分からないけれど、急に彼女は泣き出した。(え、嘘だろ)ぐすぐすとさっき僕の腕の中にいる時とは全然違う、大事な玩具を取られた子供みたいに泣き出す。

「どっ どうせあたしは馬鹿なんだよ仕方ないじゃん、」
「馬鹿とか僕一度も言ってないだろ!このばか!   あ、 」
「ほらやっぱり馬鹿って言ってるじゃん雲雀の馬鹿…!」
「馬鹿って何だよ間違って言っちゃっただけだよそんなことも分からないなんて君やっぱ本当に馬鹿  あっ 」
「もういいもんどうせ馬鹿だよあたしは馬鹿だよ馬鹿は死んでも直らないんだー!」
「ねえちょっと君泣いてるのか酔っぱらってるのかはっきりしてくれない」

泣き出したかと思うと怒り出し、かと思うとまた泣き出す。泣き上戸?怒り上戸?まるで酔っ払いだ。(それにしてはえらい可愛い酔っ払いだけど)ソファーに顔を押し付けてぐすぐすと彼女が泣くもんだから、僕も後味が悪くなって、さっきみたいに彼女の頭を撫でる。雲雀?と不思議そうにこっちを見る君、 (ああやっぱり君は、)

、君は知らないの?馬鹿な子ほど可愛いって言葉」




カバー・ウィズラブ