「ねえ、好きなんだけど」



それは、唐突だった。『風紀委員』…不良の頂点に君臨する委員長、雲雀さんの下活動しているこの委員。不良の存在が濃すぎて忘れられがちだが、もちろんこの委員会に普通の一般生徒もいるわけ、で。仕事する少しの時とはいえ危ない不良と関わらなければいけないのだ。クラスで委員会を決める際、風紀委員になるとはイコールハズレくじ、「御愁傷様」を意味する。大体はじゃんけんやらクジやらそういう類のもので決まるんだけれども、今回その餌食となってしまったのが私、だった。
と、まるで風紀委員は最悪だみたいな言い方になってしまったけど、実際入ってみるとそこまで変な委員会ではなく、危ない噂ばかり流れていた雲雀さんとも何故だか打ち解けてしまって、結構頻繁に応接室で書類整理をしていたり、する。そして、現在も。

「え…あ、このプリントに書いてある学校の売店のことですか?なるほど!確かに売店は最高ですね、蒸しパンの美味しさなんてそりゃあもう言葉に言い表すことが出来ませんよね!」
「違う。…それに、僕はパンは天然酵母のしか食べない」
「そ、そうですか…」

雲雀さん、意外と健康に気を付ける人だったんだな。初耳。でも今私が整理してるプリントのことじゃないと言ったら一体何?ちら、と雲雀さんの方を向けば同じようにこっちを見てた雲雀さんと目が合って、すぐにそらす。…な、なんでそんな真面目な顔、して、るんですか。こういう雰囲気は得意じゃないよ、というよりも、こういう雰囲気は初めてだよ!

「っ分かりました!この今私が筆箱につけているかっわいいキーホルダーのことですね!?それならば分かります、この可愛さはきっと老若男女関係なしにハートをゲットする魅力が…!」
「違う。…それに、僕はあんまり可愛いとは思わない」
「(がーん!)(お気に入りなのに!)そ、それじゃ私愛用の0、3ミリシャーペンですか!?細くて便利!それともカーディガン!?または髪ゴム!?携帯!?」
「違う。違う、違う、違う。…ねえ、本当は
分かってるんじゃないの」
「な、何も分かりませんよ!雲雀さんが何を言いたいか全然わか…」

「君が、が好きだって、そう言ってるんだ」

沈黙。

「ずっと前から好きだったんだ。伝えようかは迷ってたけど、悩むのも僕らしくないからね」

沈黙。

「で、返事を聞かせて欲しいんだけど。…聞いてる?」
「聞いて、ます、よ」
「そう。ならお願い」

ま、待てよ。なんだかいきなり言われたから頭が全然働いてないんです、が、えーと、私、告白、されたのかな?で、返事を、待ってもらってる、のかな?そこまではよし…いや、よくない。なんで、何でなんで私が雲雀さんに告白されてるんだ!?そこだ、この問題で一番おかしいのはそこ!

「えーと、あの、雲雀さん…」
「ちなみに、答えはイエスかノーどちらかだよ。もう少し待ってください、とかまだあんまり僕のこと知らないしお近付きになってから、とかそんな下らない返事したら咬み殺す」
「(えぇぇなんで私が脅されてるんだ!?)」
「…というよりも、僕は短気だから」

我慢、出来そうにないや

え?と聞き返そうとしたところでそれよりも早く雲雀さんがすぐ目の前にやってきた。本当に一瞬のことで、抵抗する暇もなく、ぎゅうっと抱き締められる。ふんわりと良い匂い。雲雀さんから、なんだろうかこの匂いは。…て、匂い嗅いでる場合か私!

「雲雀さん!?」
「…。聞こえる?僕の心臓の音」
「え?」
「君の所為で、僕の心臓、どきどきしっぱなしだ」

そう言って、雲雀さんは黙る。残るのは沈黙と…心臓の、音。…確かに聞こえますよ、雲雀さん。雲雀さんの心臓の音。鼓動が早い、早鐘。でも…そう、この心臓の音は、本当に雲雀さんのもの?どきどきが少しずつ私にも伝わってきて、ああ、なんだろう。この心臓の音は果たして雲雀さんのなのか私のなのかが分からなくなってきた。伝染…ううん、伝染よりももっとタチが悪い。どきどきが止まらないで、どうしようもないよ。




早鐘オルゴール

(この音が、そのうち、心地よいメロディーを奏でるのだろうか)




0207 稚紗(ゆんゆんへ。相互夢!)