おまえは僕のやっていることは下らないと、そう言えるか?おまえのやってることは狂気じみている、おまえは頭がおかしい、そう言い切ることが出来るか?そんなことしても何にもならない、それは愛じゃないと確かな確信を持って言えるか?自分が正しいと、間違いないと、本当に言えるか?そういえばおまえはきっと黙ってしまうんだろう。何も言えなくなって、尻尾をまいて、逃げてしまうんだろう。下らない。おかしいとか、おかしくないとか、そんなことを決められる人なんてのはこの世界に存在しないのだ。自分が正しいと思えば、それを貫けばいい。間違いない、これが進むべき道だと信じればいいじゃないか。

「ひば、り…何で、あんなこ、と、したの…?」

だからこれは間違いじゃない。たとえアイツがと少し話しただけだとしても、それだけで僕が重体になるまで咬み殺したって、正しいことだ。アイツは、と幼馴染だかなんだか知らないけど、昔から仲が良かった。「雲雀なんて危ない奴は止めとけ」なんて、下心見え見えな台詞をによく呟いていたことは、委員会の奴らの調べがついている。それでも特に何も手出しはしていなかったけれど、今日と帰る待ち合わせを校門でしていて、校門につくとと話しているアイツを見た時は、もう我慢ならなくて、心の赴くままに、身体を動かした。は、「やめて」と泣いていた。何であんな奴のためにが泣くのかと思うと余計苛ついて、更に殴る。は泣き叫ぶ。僕は殴る。悪循環。だんだんとギャラリーが増えてきたことに気付き、の腕を引っ張って応接室に連れて行く。連れて行く間も、いや、連れて来た今だって、は涙を流している。そうさ、分かっていた。アイツが、にとって大切な人だって。昔はアイツのことを好きな時期もあったぐらい、大切な奴だって。だけど、今、君は僕のものだ。だったら、アイツは、いらないだろ?僕がいれば、それでいいんじゃないのか?だから、の問いに僕は答えた。「分かってるくせに、君は、そんなことを聞くんだね」と。

「しら、ないよ…分からない、よ。ひばりが、何であんなひどいことするのか、わかんない…」
「じゃあ教えてあげるよ。アイツはと幼馴染で、と仲が良くて、いつもの傍にいようとする。それだけなら僕も我慢してやろうと広い心で思ってたけど、でも今日はと喋ってたから、だか…」
「やめてっ!」

知ってるくせに知らないフリをするになんとなく腹が立ってしまい、そのまま理由を説明していたら、が泣きながらも叫んだ。身体を震わせて、泣く。「分かってるんじゃないか。アイツが傷付いたの、全部に関わったからだってこと」「そんなこといわないでっ!」強い反発と共に、ぎっとこっちを睨んでくる。ああ、その強い瞳が怒りに燃えているのは、アイツの所為。許せない。の腕を掴んで、無理矢理キス。それだけじゃ物足りないので、胸元に思いっきり咬みつく。少し、強く咬みつきすぎたかもしれない。思った通り、その場所は真っ赤になってしまっている。でもまあ、僕のだから、いいや。そんな勝手なことを考えて、の服に手をかける。すると、力の弱いなりに精いっぱいの力を込めて、僕の腕を掴んだ。拒絶、する気らしい。「やだ、いやだ。こんなときに、こんなこと、したくない」何だか本当には馬鹿だ。自分に拒否権があると、思っているんだろうか。掴んでいたの手を無理矢理はなさせ、逆にこっちが掴む。僕もに負けじと睨むと、「っ!」少しが怯んだ。

「僕のことがそんなに嫌なら、アイツのとこでもどこでも、好きなとこ、行けよ。僕の目の前から、消えればいい」
「…そ、んな、こと…っ」
「出来ないだろう?分かってるよ、君は結局、僕のものでい続けるしかないんだ。…僕の傍に、いるしかないんだよ」

だっては、僕に依存してしまっているんだから。離れることなんて出来るはずがないから、僕はあんなひどいことが言えるんだ。もし君が簡単にいなくなってしまうような奴なら、いくら僕でも、あんなひどいことは言わないと思うよ。でも、ああ、涙。涙涙涙。君の涙は、なんて綺麗なんだろう。僕は大好きだ、の涙が。透き通っていて、舐めたらしょっぱくて、すごく、綺麗。の肌も涙と同じで、透き通るように真っ白。僕はそこに咬みつくのが何よりも幸せ。はいつも「誰かに見られるから跡をつけるのは止めて」というけれど、そんなにお構いなしに僕は咬みつく。そうすれば、は僕のものだって証拠になるんだから。…おまえは、これを間違ってると言うか?こんなのは愛じゃないと、そう言うか?だけど、大切なものほど失うことは怖いんじゃないだろうか。大切なものほど、壊されることは怖いんじゃないだろうか。だったら、これも、当然のことだろう?大切なものだからこそ、自分から失うように行動するのも、大切なものだからこそ、自分で壊そうとするのも。そうすることで、勝手に、なんて言葉は当てはまらなくなるんだから、これはすごい。失ったわけでも、壊れたわけでもない。…全部、自分がそうしたんだ。

「ねえ。これからもずっと、僕の傍で、僕だけのために何でもしてくれる、そんな僕のものでいてくれるよね」








ドラスティック・ラブ
(涙はきっと、肯定だろう?)