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やっぱりあたしの居場所はここなんだなあって思う瞬間がある。それはあたしにとってやっぱり恭弥の隣にいる時で、ここにいればどんな嫌なことだって忘れられる。ソファに座って眉間に皺を寄せ書類を眺めている恭弥の横に座って、そのまま抱きついた。恭弥は私を一瞥すると、すぐにまた書類に目を戻す。あーやっぱり落ち着く!何だか調子に乗ってきたのでそのまま更にぎゅっと抱きついたら流石に気になったのか、恭弥はこっちを見てくれた。 「どうしたの。今日はやけに甘えてくるね」 もう話すことはないとばかりに書類に集中してしまった。…全く、本当につれない。なんか妙に悔しくなったのでぐいっと恭弥の顔を引き寄せるとそのままキスをした。「…何」「へっへーん。恭弥が書類に夢中なのが悪い」「…あ、そう」すると途端に今度は恭弥からキスしてくる。長いキスに息が苦しくなって、慌てて恭弥の胸板を押し返す。残念ながらあたしの力及ばず、結局恭弥が満足いくまでキスは続いた。「ごちそうさま」 「い、息出来なかった!最後の方まじ危なかった!死ぬかと思った!」 恭弥の言葉の意味が分からなくて首を傾げたら「分からないんだ」とでも言いたそうな表情をして、説明してくれた。「死ぬ時は、僕も一緒だ」…なんて殺し文句だ。ほら、やっぱりあたしは恭弥に殺されてる。何度殺されただろう、これで何度目だろう。あたしという人間は恭弥によって幾度も殺され、その度に生まれ変わってる。だんだん、恭弥の全てが理解出来るようになってきた。ああもう何ていうか、教育、されているんだ。 「昨日家族で近くのショッピングセンター行ったんだけどさ」 歩く度にたくさんの人がいてさ、どこ見ても人人人で、恭弥がいつも言う『群れる奴らは嫌い』っていう意味が分かる気がしたなあ。ほんと、ああいうとこいると絶対人間嫌いになるよ。人間とか全部消えちゃえばいいのにって思うようになっちゃうよ。あたしが力説すると恭弥は、すごく、綺麗な顔で笑った。本当に本当にそれはそれは綺麗な笑顔で、また、恭弥に殺された気がした。 「そんなの当たり前。 僕以外の奴といる時に楽しかったなんて言ったら、それこそ 咬み殺すよ。 」
僕等の命日 |