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二人きりの応接室。見るからに不機嫌という彼を前に私は問いかける。たとえその彼が最強最悪と名高い風紀委員長、雲雀恭弥だとしても…だ。恭弥の性癖は理解しているつもりだ。群れるのは嫌い、そんな奴らは『咬み殺す』。まあ言ってしまえば自分が気に入らない奴は全員倒してしまえな実力主義者なわけだけど、これには本当苦労している。付き合い始めて「暴力は止めて」と言った私に「…のためなら努力はするよ。でも約束は出来ない」と言った彼の言葉は半分しか正しくなかった。…勿論後半。いつもいつも喧嘩ばかりで仕方ないから私も不良との喧嘩は諦めるようになった(認めたわけじゃない)。それでも今日のは酷い。どっからどう見ても一般生徒の男子を自慢のトンファーで一人殴り続ける。ああ、弱肉強食の世界。見ていられなかった私はすぐに恭弥を止めに入った。始めは私の言葉を無視しようと思っていたみたいだけど後々のことを考えて(主に恭弥が喧嘩した後の私の機嫌はすこぶる悪い)(最悪の場合私は恭弥を徹底的に無視する)、渋々ながらトンファーをおさめた。どうしても納得出来なかった私は恭弥を応接室へと連れて行き、そして現在に至る。 「むかついたからだよ。咬み殺したくなった。それじゃ駄目なの?」 私の言葉に何も言い返せなくなったのか恭弥は黙り込む。自分で言うのもなんだけど、私はなかなかに命知らずなのかもしれない。この雲雀恭弥と言ったら教師でさえも恐れるとにかくすごい存在で、付き合い出してから私の周りの友達も私に一線引くようになってしまった。まあそんな友達なら別にいらないからそれはいいとして…とにかくここまで恭弥を問いつめる私は周りから見たら余程勇気溢れる人に見えるんだろうな。でもそれは違う。私はただ…"怒って"いるのだ。喧嘩などしたこともなさそうな人に一方的に攻撃をしかけたことを。暴力は嫌いだと、人が傷付くところなんて見たくないと何回も言ったのに。 「せめて理由を教えてくれないと私は暫く恭弥を無視します」 無視すると言えばあからさまに衝撃を受けた恭弥に口端がつり上がりそうになったが、頑張っておさえる。笑っちゃだめ笑っちゃだめ、私は今怒ってるんだからと必死におさえる。一人私が自分と戦っているとその間に恭弥は決めたらしい、ゆっくりとだけど口を開いた。 「これ」 恭弥が差し出した手紙を開けて分かった。…これは、私宛のラブレターだ。そういえば恭弥に殴られてた人は同じクラスの男子…だったかな。あんま覚えてないけど…でも、そっか。恭弥はこの手紙が拾ったかどうとかで私宛のものだと知ったんだろう。それで自分の彼女に告白なんて!と怒って彼を咬み殺したわけか。成程納得…って出来るはずないでしょう! 「それだけで怒ったの!?私に手紙を渡そうとしてただけで!?」
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「だけどもうあんなことしちゃ駄目だよ、恭弥」「…のためなら努力はするよ。でも約束は出来ない」「………」