たくさんの人とたくさんの人の血とたくさんの人の体がその辺に散らばってる。その中で唯一息をしているものの、なんとかという雰囲気のディーノ。「ディーノ、いきてる?」身体のあちこちから血が出ている彼に尋ねる。いきてる?いきてるなら返事して。反応を示さなかった彼を不審に思い近付いたらいきなり抱き寄せられた。目の前には彼の血、抱き締める腕にもきっと血が付いてる。「ねえ、血がついちゃうよ」そう言って何も喋らない彼の血を片っ端から拭く。そこまで深い傷はないみたいだけど、早く医者に看てもらった方がいいだろう。「聞いてるの?ディー」まで言いかけたところで唇を塞がれた。口内も切っているのか、なんだか血なまぐさい匂い?味?がする。「血、まずい、ね」素直に感想を述べる。まずい、や。いや、そこまでまずくはないけど、決して美味しくもない。傷付いてない時のキスの方が、私はいいな。ディーノの匂い?味?がするから。勿論ディーノを食べたことなんてないから、これは勘みたいなものなんだけど。「危なかったよ。もう少しで、ディーノは死ぬとこだった」今度は彼の肩を拭く。ディーノの中にはこんなにも血があったんだ、そう思うぐらいたくさん溢れてる。これだけ出ても死なないならば、死ぬ時は一体どれだけの血を流すんだろう。私の身体、全部を埋められるぐらいかな。だったらいい。ディーノの温もりを感じながら、私も追い付ける。「ディーノが死んだら私も死ぬから、命、救われたって言うべきかな」相変わらず言葉はないけど、ディーノはゆっくりと顔を上げて、そして笑ってみせた。少し、苦しそうに見える。苦笑い、してるの?それとも、本当に苦しいの?彼の胸辺りを拭いて、腹を拭いて、足を拭いて、その時にはすっかりディーノを拭いた布は真っ赤に染まっていた。「ディーノの、血だ」人の血なんて大嫌いだけど、何故だかディーノの血だけは綺麗に見えた。好きに、なれる気がした。変なの。血なんて、誰だって変わらないだろうに。気付けばもう一度キス、またキス、更にキス、それでもキスキスキスキス。「そんなことしなくても大丈夫だよ。ディーノは、ちゃんと生きてる」ねえ怖かったんだよね。死ぬかと思ったんだよね。だからキスするんでしょう、だから抱き締めるんでしょう?生きてることを実感したくて、人の温もりを感じたくて。「ほらディーノ、ちゃんと、心臓、動いてるよ」彼の手を取って、胸に当てる。「生きてるんだよ。ちゃんと、生きてるんだよ」ディーノの瞳から涙が零れる。嬉しいの?嬉しいんだね。嬉しいんだよね。私も、嬉しい。ディーノが死ななくて、こうしてまたキスしてくれて、すごく嬉しい。こういうのって、生きてるからこそ出来ることだから。「私ね、ディーノと離れるのはすごく怖い」怖いというより、考えられない。想像、したくもない。私はディーノと一緒にいるのが当たり前で、ディーノは私と一緒にいるのが当たり前だから。「だからね、ディーノが死んだら私も死ぬよ。ね、それだったら死ぬのも怖くないでしょ?」少なくとも、私は大丈夫だよ。ディーノがいれば、何も怖くない。(だから、離れないで)
生死共同体(生きる死ぬも貴方と共に)